テヤンの肌襦袢1 その6

テヤンの肌襦袢(はだじゅばん)を作りました。

肌襦袢とは、和服を着るときの下着です。

型紙は自分で作りました。

作業記録の画像があるので、記事にしてお伝えしています。
長いので、複数回に分けています。

前回はこちら
テヤンの肌襦袢1 その5

後身頃の衿ぐりを切ります。

ここまで、布を切るときはロータリーカッターを使ってきました。
その理由は、私がはさみを使うのがとても苦手で、どうがんばっても下手だからです。
切ろうとする線に沿ってきれいに、ガタつかせずに切るのが難しいです。
「大事なものだから」と慎重になればなるほど、線から遠ざかってしまいます。
大抵は、びびりすぎて「損なうよりは」と線より外側を切って、余った部分を修正しようとして切りすぎて、結果、予定の線をえぐった箇所が出来ます。
布でも、紙でもです。

でも、衿ぐりの、そこそこ深い角は、さすがにロータリーカッターではだめだろうと思います。
奥をぴったりと切るのは困難です。
ここでは、はさみを使うことにします。

「どれを使えば失敗しないで切れるか」、手持ちのはさみのなかから、候補をいくつか思い浮かべて、考えました。

布専用にしているはさみ、工作用にしているもの、糸切りばさみ。
それらの刃の長さ、持ち手の大きさや形、動かしたときの滑らかさ、重さ。
どれを重視したら良いのかは分かりませんが、違いはあります。

何か、下手な私を助けてくれる要素を見いだせないものかと思いました。

テヤンのための小さな肌襦袢づくりは、趣味でやっていることとはいえ、せっかくここまで、がんばって進めてきたので、自分が下手だと分かっているはさみで数センチ切るだけのことで、失敗して今までの道のりを台無しにしたくはありません。

実は、手芸用の細工ばさみを持っており、それがいちばん良さそうに思うのですが、家の中で行方不明中で、今回は使えません。
手芸品店に行ってみたりもしたのですが、同じようなものも、それに代わる、もっと良さそうなものにも、出逢えませんでした。

この際、手持ちのはさみで試し切りを兼ねた練習をしてから、本番に臨むことにしました。

身頃を取った残りの布から、端切れになりそうなところを切り出します。

衿ぐりと同じ角度で、線を引きます。
三角定規を使って、並行に、試すはさみの数だけ、ヘラで引いていきます。

ヘラで切る線と止める位置の線を引きました。
5つのはさみで切っていきます。

右端の裁ちばさみは、重いけどよく切れました。
けれど、切りすぎを恐れて、切り終えるべき位置のぎりぎり手前で切るのを止めてしまいました。

右から2番目の裁ちばさみは、右端に比べて軽いけれど、布が細かく左右にぶれて、落ち着かず、切りづらいです。

真ん中のハサミも2番目と同様、布が刃の上で滑って安定しません。
慎重に動かしましたが、結局、ずれた位置で切れてしまいました。

次の工作用ハサミは、布に切れ目が入りづらく、入ったあとも力を入れる必要がありました。
切りやすくはあったものの、止める位置を越えて切ってしまいました。

左端の糸切りばさみは、握ったり緩めたりする度に布がぶれて、切り口ががたがたになってしまいました。

試した中から、今回は重たい方の裁ちばさみを使うことにしました。

右後身頃の衿ぐりを切ります。
途中まではロータリーカッターで切り、角を裁ちばさみで切ることにします。

ところが、ロータリーカッターを使うときに、光源を左に置いたせいで、直尺の影と布に引いた線とを見分けられず、線より0.5mmくらい内側を切ってしまいました。

「きれいにまっすぐ切る」ことにこだわって、ロータリーカッターを使いましたが、「縫い代込みで切る」なら、縫い合わせるときに、端を合わせないと縫い線も合わずズレてしまいます。何が何でも線のとおりに切らなければいけません。
これなら、たとえガタついても、全てはさみを使って切って、結果として最も外側が線に合っていれば、その方がまだましです。

反対側は、裁ちばさみだけで切りました。
ましな仕上がりになりました。

ちっちゃいことですが、教訓を得ました。
「忘れなければいいのだが…、忘れるわ、書いておこう。」
ロータリーカッターの近くに立札をおいて、使う直前の自分に注意喚起をすることにしました。

いつか、書いた理由を忘れるかもしれませんが、まあ一時停止の役には立つことでしょう。
その時の自分が不思議がって分かるまで考え続けてくれれば、今回のことを思い出せなくても慎重に行動して同じ失敗を回避できれば、しめたものです。

切り出したパーツに、ほつれ止めのピケを塗ります。

小さいカッターマットにシリコーン加工されたアルミはくを載せ、その上に載せたパーツの外周に、ちょんちょんと液を置くように塗っていきます。

私は手でパーツを持ってそこに塗ろうとすると、ピケの出口を生地にあててしまい、布端をほつれさせてしまう失敗をしがちです。本末転倒です。
布を置いて塗る方がいくらかはマシと分かってからは、こうしています。
それでも、少量ずつ均等に塗ることができません、難しいです。
過不足なければそれでよしとします。

これもやはり、カッターマットに載せてそれごと回転させると、布を動すことなく、常にやりやすい角度で作業ができて、楽です。

続きます

型紙づくりは我流ですが、縫い方はこの本の「男物肌じゅばん」「女物肌じゅばん」を参考にしています。

(文化出版局 新きもの作り方全書)