リカちゃん用 浴衣1と2 その2

リカちゃんの浴衣を、作りました。

作業記録の画像があるので、記事にしてお伝えしています。
長いので、複数回に分けています。

2つ同時に作りました。
同じ布から、柄の取り方を変えて2着分の裁断をしています。

前回はこちら
リカちゃん用 浴衣1と2 その1

布地の柄合わせのポイントや、良い例とNG例は、ちょっとだけお勉強をして、理解しました。
でも、それを頭の中で考えながら、各パーツを取る箇所をいちどに決めて裁断するのは、今の私にはとうてい無理です。経験と、慣れが必要です。
最初はまず、上前(うわまえ)身頃の柄を取って、切り出し、布地に当てて、他のパーツの柄を取る場所を決めていくことにしました。

上前おくみと上前身頃から左後(ひだりうしろ)身頃までが一体になったパーツを1着分、布に型紙を当てて描き写しました。

この布の柄は後染めで、布目と柄のストライプが少し斜めになっている箇所があります。
ストライプの線を優先するため、直線は定規をあてて線を描きました。

裁つのは線の内側なので、印付けには鉛筆を使いました。

チャコペンなど、布に印をつけるものは何種類か持っているのですが、鉛筆を使った理由は、昔たまたま見た、プロが仕立てたステージ用の衣装に、鉛筆で描いた線が残っていて、「プロは鉛筆を使うのか。きっとそれなりの理由があるのだな、いつか真似しよう」と思った記憶があったためです。

でも、やってみて分かりましたが、これはあまりお勧めできません。

使った鉛筆はステッドラーの「マルス ルモグラフ 製図用6B」です。デッサン用に持っていたものです。
芯が柔らかいので、今回使った粗い布目の生地には描きやすく、チャコよりもはっきりと線が見えます。
パーツに残らない位置に印を付けるときなら、これを使うのが最善ではないかと思いました。

しかし、当然ながら鉛筆の黒い粉が出ます。
気を使ってその都度まわりをお掃除しながら作業しても、粉がどこかに飛んでいくかもしれません。
知らぬうちに道具や布や、自分に付いて、それで大切なものを汚すかもしれません。
私の場合は、「もしテヤンに付いてしまったら」と考えて、それはダメ、と思いました。
これが、鉛筆をお勧めしない理由の一つです。
もう一つ理由がありますが、それはこの記事の後半でお話します。

裁断する前に、ほつれ止め液を塗ります。
ピケを使いました。
このとき、ピケ液の表面で鉛筆の粉が浮遊するのをみて、「うわぁ(びっくり)」となりました。

ピケが乾いてから、線の内側を裁断します。

わたしはハサミを使うのが下手だからと、長い直線はロータリーカッターを使って切ったのですが、細いストライプに沿ってきっちりと切るのが、意外にも難しかったです。
そして、短い直線をハサミで切ったら、とても切りやすかったです。

理由は、乾いたピケが布をやや縮ませて波打ったため、直線がまっすぐではなくなり、定規がカッターのガイドとして使えなかったこと、そして、布の切る部分が固くなり、ハサミの刃の上で安定したからでした。

想像や思い込みで取り掛かる「なんでもない行動」も、実際に作業をしてみると、いろいろと発見があって、面白いです。

裁断したパーツを布に置いて、柄を見て、反対側の「下前(したまえ)おくみと下前身頃から右後(みぎうしろ)身頃まで」の位置を決めて、印を付けます。
柄の配置は、先に切ったパーツの背中心の柄を見ながら決めてみました。
続けて、上前身頃の柄を見ながら、左前(ひだりまえ)袖の位置を決め、下前身頃の柄を見ながら、右前(みぎまえ)袖の位置を決めて、それぞれ印をつけました。

この生地に使った手ぬぐいの大きさから、2着分を取って作れると思っていたので、2つめの、上前おくみと上前身頃から左後身頃も印を付けました。
柄を取る場所は、縫いしろ分も考えて決めたのですが、実際に縫いあがったらどうなるのか、イメージできず、ちょっと心配です。
100点満点中の60点くらいの出来になったら、よしとしました。
だいぶ及び腰ですが、身の丈に合った目標のつもりです。

2つめの他のパーツも同様に、やはり基準にするものを先に切り出してから、柄を取る位置を決めることにします。

衿は、もっと作業が進んで全体の柄が分かるようになってから、それぞれに合わせて2着分の裁断をすることにしました。

裁断する線に沿って、ほつれ止めのピケを塗っていきます。

2着目の、上前おくみと上前身頃から左後身頃をハサミで切り出します。

背中心の柄を合わせて、縫いしろ分1cmを考慮して、2着目の下前おくみと下前身頃から右後身頃の印を付けます。

ここで、間違えてしまいました。

身頃の型紙は1枚です。
左右(上前おくみと上前身頃から左後身頃、下前おくみと下前身頃から右後身頃)が兼用になっており、線対称になるように、型紙をひっくり返して使います。
ところが、印を付けるときに、上前身頃と同じ面を出したまま描き始めてしまいました。

途中で間違いに気づき、場所を変えて、やり直しました。
布に余裕があり、この後も柄合わせができたので良かったですが、そうでなければ、2着目の柄の配置が思うように取れなかったかもしれません。

布に描いた鉛筆の線は、簡単には落ちません。消そうと頑張って洗えば、そこだけが痛み、色も褪せてしまいます。

浴衣2着を作った残りの布は、取っておいてまた何かに使うつもりですが、それも、この鉛筆のところは使えなくなってしまいました。
消えるチャコペンで描いていれば、大きく使えたものが、これでは、描いた部分を避けて使うしかありません。

これが、布の印付けに鉛筆をお勧めしない、もう一つの理由です。

型紙をひっくり返し忘れて左右のどちらかを2つにしてしまう失敗は、自分用の服でも、やってしまうことがあります。右袖を2枚、とかです。印を付けかけて気づくこともあれば、裁断してしまったこともあります。
そんなときは、時間も労力も、材料も無駄にしたと、間違えた自分に腹が立ちます。その後、しばらくは落ち込みます。

こうして書いていて、過去にその失敗を踏まえて「だったら左右分の型紙を最初から作っておけばいいんだ!」と、何かの作業で左右分を作ったことがあるのも思い出しました。

それを習慣にしてしまうか、それとも裁断するパーツのチェックシートでも作るか。
今回は失敗しましたが、まだ改善の余地はありそうです。

次回に続きます。

記事中の、失敗したお話は、他山の石としていただければ幸いです。
この後も、何度も間違えてはやり直すのですが、最終的には、ちゃんと浴衣が縫えました。

完成品を見ると、嬉しいです。

型紙はこの本のものを使っています。

(株式会社日本ヴォーグ社 リカちゃんのおしゃれ着物)