テヤンの肌襦袢1 その1

テヤンの肌襦袢(はだじゅばん)を作りました。

肌襦袢とは、和服を着るときの下着です。

テヤンに和服を作って着せたいな、と考えて、作りました。

着物よりも先に下着から作り始めました。
自分の好みに素直に従ったら、そうなりました。

私はどういうわけか、物心ついた頃から今に至るまで、下着を着けていないお人形を見ると哀れに感じます。
とりあえず布切れでもいいから着けてやりたい衝動にかられます。
人間に対してはそんな気持ちは湧かないので、ただのおせっかいとは違うようです。

幼い頃は、自分の着せ替え人形が既成の下着を着けていなければ、ティッシュなどをまとわせたりしました。
いつも「できればちゃんとしたものを着けさせたい」と子供心に思っていました。

その当時は、お人形の下着セットをよくおもちゃ屋さんで見かけたものです。
やがて、時代が進み、売られている着せ替え人形の種類が増える一方で、お人形の下着は販売されることが少なくなりました。
お小遣いを貯めて、買えるようになっても、おもちゃ屋さんで下着を見ることがほとんど無くなりました。

その後、小さなお人形に重ね着をさせると厚みのせいで野暮ったく見えることを理解すると、「服のシルエットを重視すればやむなし」、経済を理解すると、「製品のコストや需給を思えばやむなし」と、着せ替え人形の下着が省かれることに理解を示し、目を瞑るようになりました。

でも、最近になって、自分でお人形の服をいくらか作れるようになったら、やっぱり「お人形に服を着せるなら、まずは下着を!」と思うようになりました。

テヤンに着せる服は特に、自分で型紙を起こして縫うので、シルエットの制限が無い限りは、下着も着けさせたいと思っています。

テヤンの和装作りを始めるにあたり、私は和裁の心得が無く、男性の和服の知識も無かったので、本を読んで勉強しました。

参考にしようと買ったこの本で、

(草思社 ビジュアル版 男のきもの大全)

「(略)浴衣を着て外出する際は、汗取りの意味で肌襦袢やステテコなどの下着類を着たほうがよいでしょう。」と書いてあり、

また、この本では、

( 二見書房 着付けDVD付き はじめての「男の着物」 Men’s Kimono Book)

「肌襦袢は、着物でも浴衣でも必ずつけます。(略)」と書いてありました。

それらを読んで「そうなのか!それでは、作らなくては。」とやる気満々で思いました。

そんなわけで、テヤンに肌襦袢を作りました。

テヤンに着物を着せたときの、着くずれと色移りを防げたらいいな、という期待もあります。

型紙は自分で作りました。

縫い方はこの本の「男物肌じゅばん」「女物肌じゅばん」を参考にしています。

(文化出版局 新きもの作り方全書)

作業記録の画像があるので、記事にしてお伝えします。
長いので、複数回に分けています。

まずは型紙づくりです。
立体裁断で行います。

使う布は、切りっぱなしで使えて、あまり伸び縮みしない、それでいてしなやかな素材がいいです。
自分用に買って、使っていないままのニット生地があったので、これを使いました。

商品名はわかりませんが、裏地用として販売されていたカットクロスです。
ほつれないし、丸まらないので、都合がいいです。

アイロンをあてて、適当な大きさに切り出した布を、横たえたテヤンに載せます。
このときは、先行してTシャツの試作を始めており、採寸のため司祭服に待ち針をつけていました。
ゆるみ分を取るのに都合がいいと考えて、肌襦袢は司祭服を着せたままで立体裁断することにしました。

布に描かれている白い線は、アイロンチャコペンで引いたものです。
前後身頃とも、左右で差をつける必要がないので、片側で前身頃、もう片側で後身頃のパターンを取ります。

テヤンに載せての印付けには、しつけ糸を使いました。

次の画像で、布の線から右側が後身頃、左側が前身頃です。
しつけ糸は、衿の線を引くための印です。

続きます。